
中公文庫から出ている青山二郎についての宇野千代の回想録。
青山二郎の人となりを知るにも貴重な一冊だが、なんといっても宇野千代の青山への想いがちりばめられている。そのこともあって、青山二郎を取り巻く女性達からの聞き書きの話やその言動を書いた部分は特に面白い。
それ以外にも青山二郎の遊びともいえる陶器類の“時代付け”が登場する。
もし、今、こうした作を観ることができたらどんなにか面白いだろうと思う。
2004年の11月から新刊書籍を選定する際に、昭和29、30年生まれの作家を中心に選定するようにしてきました。同世代作家の傾向や時代背景を作品に読み解くことができたらと思っています。
2005年も一応このテーマをしばらくは、続けていこうと考えています。
7月に文庫本として、中央公論新社より発売された山口瞳の『旦那の意見』を新刊ガイドにアップ。なんでも、新潮文庫などで山口瞳文庫発売が続いたとの話もあるらしい。学生時代から愛読してきた山口瞳だけに、ほとんどの文庫や男性自信シリーズや一部の著作は、単行本で持っているのだが、その多くは廃本と聞く。
『旦那の意見』は、辛口社会風刺といった捉えられ方をされているが、私には、多くの文人についての記述が、『血族』につながるその当時の山口瞳との周囲の人々との関わりといった側面から見え、なんとも面白かった。結果、また『血族』を読み返すことに。
今回は、少し、この山口瞳の随筆に登場する「時代の東京」を背景とした様々な著作も取り上げるつもりです。
ようやく、8月の新刊洋書評ガイドをアップしました。
この11月に宮崎駿さんによるジブリでの映画化した作品の放映が決定している「
ハウルの動く城」の原作本です。
著者のダイアナ・ウィン・ジョーンズさんは、こうした魔法や妖精などのファンタジーノベルは多数書かれていて、まだ日本語に訳されたものが少ないのが残念。このシリーズでファンも増えたでしょう。国内外にファンサイトがあり、その人気の程が伺えます。
新刊ガイドにもファンサイト情報(リンクあり)を設けたので、覗いてみてください。